新規事業とブランディング

　ここ数年、新規事業のブランディングについてのご相談がとても多いです。この新規事業は、クライアント様の社内でも、外注業者である弊社にとっても、成長の近道になります。

　すでに軌道にのっている事業のブランディング支援であれば、デザインやライティングをメインにしたブランディング会社でも十分対応できます。しかしながら、新規事業ではそうはいきません。配慮すること、考えておくべきことが多岐に渡ります。

　起業や新規事業は通常、クライアント様も走りながら考え中の段階。資料もなければ、社内での意見の一致も不十分。それを新規事業立ち上げ経験のない方が、方々に気を使いながら懸命に担当者として頑張っておられる。そのようなケースがとても多いのです。それ故に、新規事業責任者様をサポートする上では、単なるブランディングの専門家というだけでは当然足りません。

　社内外の起こり得るリスクを配慮し、最初から事業計画やマーケティング施策、社内の組織作りや外注先との関係まで配慮して、サポートさせて頂く必要があります。ホームページ1つとっても、SEOだけでのネット集客用でスタートする企画でも、WEB広告を活用する可能性の有無も予想しておく必要はありますし、1社だけでみればプラスでも、競合も考慮したらマイナスの表現というものもありますし、制作後の実務の負担軽減など、考慮することがとてもたくさんあります。

　そのプロセスの中で、思い知らされることがあります。ブランディング・セミナーでは、コーポレートアイデンティティが~ペルソナが~USPが~と、横文字を理解することに重きが置かれます。一方、ブランディングの実務では、経営者から新入社員さんに至るまで多種多様な方に、ご協力頂きつつ、社内浸透も成し遂げて頂く必要があるため、できるだけ専門用語を使わないことが大切になります。

　実行力が伴わない知識は煙たがられる、知識・事例の裏付けがない実務は無駄な苦労を生み出す。誤魔化しのきかない新規事業の現場は、知ることと行うこと、片手落ちでは意味がないと学べる成長の機会になります。